今年、タイの入国システムについて大きな変更がありました。

多くの方が訪れるタイですが、入国の手続きや条件は年々少しずつ変化しており、旅行者にとっては常に把握しておくべきポイントになっています。

以前は紙の出入国カード(TM6)が飛行機の中で配られていました。
私はタイ人と思われるのか、渡すのを飛ばそうとされたり、眠っていると置いてくれていなかったり、ということがよくありました。
機内にいる間に記入できていないと、到着後に移動しつつ、不便なところで書き込みながら入国審査に臨まなければならず、わずらわしく感じていた人も多いのではないでしょうか。

その紙の出入国カードが完全に廃止されました。
代わって導入されたのがTDAC(タイランドデジタルアライバルカード)です。
これはオンラインで事前に登録する入国カードで、入国審査の効率化とセキュリティ強化を目的としたシステムです。

「日本人の入国審査が厳しくはなったりはしないだろうか?」と不安を持つ人もいますが、通常の観光や正規のビザでの滞在であれば特に心配はいりません。
むしろTDACを登録しておくことで、余計な質問をされることなくスムーズに通過でき、審査にかかる時間短縮が期待できます。
ただし、便利になった反面、登録のタイミングや入力方法を誤ると、手間だけがかかったり、空港で足止めされる可能性があるので注意すべきこともあります。

本記事では、入国審査の基本的な注意点やTDACの登録の際に押さえておくべきポイントを解説します。
また、後半ではTDACの登録方法を手順に沿って細かく紹介します。

目次
  1. TDAC(タイランドデジタルアライバルカード)とは
    1. TDACは従来の出入国カードが電子化されたもの
    2. TDAC導入の目的
      1. 入国手続きの効率化
      2. セキュリティの強化
      3. ペーパーレス化による環境配慮
    3. TDACはいつからスタートしたか
    4. 日本人にとってのメリット
    5. 旅行前に知っておきたいタイ入国のポイント
      1. パスポートの残存期間
      2. ノービザでの滞在期間について
      3. 出国用のチケットについて
      4. TDAC登録は必ずフライト前に
      5. TDAC登録に必要な情報
      6. QRコードは必ず保存しておく
  2. TDACの登録が必要な人・不要な人
    1. TDACの対象者は「タイ国籍を持たないすべての渡航者」
    2. 年齢に関係なく全員分の登録が必要
    3. 家族やグループでの登録
    4. ノービザ入国でもTDAC登録は必須
    5. TDACが不要なケース
  3. TDACの登録で気をつけること
    1. TDACの登録は必ず公式サイトから
    2. TDACに登録できるのは到着の3日前から
    3. 入力はすべてアルファベットで
    4. 登録作業は10分程度
    5. 基本情報の入力ミスは特に注意!
    6. 登録完了画面やQRコードは保存しておく
    7. 空港での登録は最終手段
    8. TDACは入国許可証ではない
    9. 現金はいくら持っているべきか?
  4. TDACの具体的な登録方法の流れ
    1. 実際の登録手順 
      1. まずタイ入国管理局の公式サイトにアクセス ①
      2. 入国記録を選ぶ ②
      3. 個人情報の入力
      4. 観光情報の入力 
      5. 宿泊情報の入力 
      6. 健康診断書の入力 ⑪
      7. 他の旅行者を追加 or プレビューで確認 ⑪
      8. QRコードの受け取り ⑫
  5. まとめ

TDAC(タイランドデジタルアライバルカード)とは

TDACは従来の出入国カードが電子化されたもの

TDAC(タイランドデジタルアライバルカード)は、従来の紙の出入国カード(TM6)が電子化されたもの
です。
これまで旅行者は、飛行機の中でもらう小さな紙に、名前やパスポート番号、宿泊先などを記入してイミグレーションに持参しなければいけませんでした。
これが出入国カード(TM6)と呼ばれていた書類です。

入国審査の列に並ぶ間に職員から「書いたか?」としつこく確認されるので、手続き上必要なことは理解できるものの、何か書いてありさえすればほぼスルー。
私も、この書類に一体何の意味があるのだろう?と以前から疑問を持っていました。

渡タイに慣れない人の中には、入国カードを切り取られた半券(出国カード)を捨てたりなくしたりしてしまい、帰国の際に面倒な手続きを余儀なくされるケースも多々起こっていました。
それを避けるためにはきちんと保管しておかないといけないので、「なくなればいいのに」とずっと思っていた書類でした。

過渡措置として出入国カード提出が免除されていた期間を経て、2025年5月からは従来の出入国カードは全面廃止となり、すべての旅行者が「オンラインで事前登録する」方式へ完全に切り替わりました。

TDAC導入の目的

TDACの導入には、いくつかの明確な目的があります。

入国手続きの効率化

空港で入国カードを手書きする時間や、書き間違いで再提出する手間がなくなります。
事前にオンラインで情報を入力しておくことで、入国審査官はスキャンするだけで渡航者の情報を確認できるようになり、入国審査手続きの流れもスムーズになります。

セキュリティの強化

紙のカードでは記入ミスや不鮮明な文字を読めず、問題になることがありました。
デジタル化によって正確なデータを事前に把握できるため、不審な入国者のチェックや情報管理を強化できる狙いがあります。

ペーパーレス化による環境配慮

以前は紙のカードが年間で数千万枚単位消費されていました。
電子化することで環境への負担を大きく減らせます。

TDACはいつからスタートしたか

出入国カードが全面廃止され、TDACに完全に切り替わったのは
2025年5月1日午前0時から
です。

それ以前に旅行した日本人は、紙の出入国カード(TM6)の提出が免除になっていた上に、TDACもまだ適用されていなかったので、パスポートだけでイミグレーションを通過できたと思いますが、指定されたこの日この時間から、日本人を含むすべての外国籍の渡航者に、TDAC登録の義務が発生しました。

適用されて数カ月たったので、すでに実際に使った人も増えて来ており「登録は思ったより簡単だった」「入国審査が早かった」というプラスの感想も多く聞きます。

日本人にとってのメリット

適切なビザを取らないまま、特に陸路利用で何度も出入国(ビザラン)を繰り返してタイに長期滞在する日本人に対しては、イミグレーションで入国拒否されたり注意を受けるケースを耳にするようになりました。
ただ、年数回の1週間前後の観光旅行や、適切なビザを取得して長期滞在している日本人に対してのタイの入国審査が特別に厳しいということはありません。

むしろ事前にTDACに正しい情報を入力しておくことで、入国審査で質問をされることも減り、すべての渡航者の入国審査がスムーズになることで、イミグレーションでの待ち時間が全体的に短くなる傾向にあります。
入国審査官によって「どこに泊まるか」「現金はどのくらい持っているのか」といった確認をされる可能性はありますが、通常は数分で通過できるでしょう。

旅行前に知っておきたいタイ入国のポイント

今年新しくスタートしたTDACと合わせて、タイ入国について、そもそも最低限押さえておくべきポイントをおさらいしておきましょう。

パスポートの残存期間

タイに入国するには、パスポートの有効期限が6か月以上必要です。
残り期間が不足していると空港で止められ、搭乗できなくなる可能性があります。
旅行が決まったら、まずパスポートの期限をチェックしましょう。
もし6か月を切りそうなら、余裕をもって新しいパスポートに更新しておくと安心です。

ノービザでの滞在期間について

2024年7月15日から、日本人を含む93の国と地域の渡航者は、観光などの目的なら60日までノービザで滞在できるようになりました。
以前は30日だったので、かなり余裕のある日数になりましたね。
これまでなら観光ビザを取るか、タイ国内で30日の延長申請をしないといけなかった日数です。

さらに長く滞在したい人は、これまでと同様、タイ国内の入国管理局で30日の延長申請が一回だけ可能なので、ノービザで最大90日間滞在できることになります。

出国用のチケットについて

TDACの登録時には、チケット未購入の状態でも何らかの出国便情報が入っているだけで良い
のですが、まれに、入国審査時にタイからの出国チケットを持っているか聞かれることがあります。
実際のケースは聞いたことはないのですが、片道チケットのみだと、最悪「入国拒否」される可能性もあるとのことなので要注意です。

正直言うと「期限内に出国することは約束するから、予定が決まってから購入させて」と言いたいところですね。
いろいろやり方はありますが「不確定要素が怖い!」 「入国審査のときに何か言われたら慌てふためいてしまう!」という人は、日程変更できる出国チケットを購入しておいて、聞かれたときに提示できるようにしておくと良いでしょう。

ちなみに、
タイからの出国日時が登録した日時から変更になっても、TDACの出国情報は修正しなくて良い
です。
出国する際に実際のチケットを見て確認するので、最初に登録したとおりの日時に出国しなくてもTDACの登録上は特に問題ありません。

TDAC登録は必ずフライト前に

これまでの紙の出入国カードは廃止され、本記事で紹介しているTDACへの登録が「必須」になっています。
空港に着いてからでも登録はできますが、入国の際の必須書類なので、いずれにせよ登録をしない限り入国は認められません。
早く通り過ぎたいイミグレーションで、審査のために余計な手間ヒマがかかるのは避けたいですよね。
特別な理由がないのであれば、ぜひ旅行前に登録を済ませておきましょう。

TDAC登録に必要な情報

登録にはいくつかの情報が必要です。

  • パスポート情報
  • フライト情報(便名など)
  • 宿泊先の情報(ホテル名や住所もアルファベット表記)
  • 同行する他の人の登録も同時に行う場合はその人のパスポート情報

これらをあらかじめ手元に用意しておけば、スムーズに手続きができます。

QRコードは必ず保存しておく

TDACの登録が終わると入力したメールアドレスにQRコードが送られてきます。
入国審査の際、提示を求められるので、必ず保存しておきましょう。
タイの空港は場所によって通信状況が不安定なこともあるので、スクリーンショットや印刷でオフラインでも見せられるように準備しておくと安心です。

TDACの登録が必要な人・不要な人

TDACの対象者は「タイ国籍を持たないすべての渡航者」

TDACの対象者は「タイ国籍を持たないすべての渡航者」
です。
観光、留学、駐在など、渡航理由が何であっても、また何らかのビザを持っていたとしても免除されることはありません。
飛行機で入国する人だけでなく、陸路や船など、どの交通機関で入国する場合も必要です。
つまり、基本的には
「タイに足を踏み入れる外国人は、どんな場合でも全員必要」
と覚えておくとわかりやすいです。

年齢に関係なく全員分の登録が必要

TDACは年齢に関係なく、渡航する全員分の登録が必須です。
たとえ産まれたばかりのお子さまであっても、きっちり人数分の登録が必要です。

誰か1人分の登録を済ませていないまま入国しようとしても、イミグレーションで足止めされて追加登録を求められるので、余計な時間がかかるだけです。
必ず全員分の登録を済ませた上で入国審査に進みましょう。

家族やグループでの登録

TDACには、
代表者が一度に最大10人までまとめて申請できる
機能があります。

家族や友人との旅行の場合、各自で登録しなくても、入力に慣れた人がまとめて登録をすることで作業時間が短縮され、情報も一か所で把握できます。
また、入国審査で確認するQRコードもひとつになるため、審査時間も短かくて済みます。
入力がスムーズに行えるよう、あらかじめ全員分のパスポート情報を集めておきましょう。

ただし、ここで注意しないといけないのが「入力ミス」です。
誰かの名前のスペルやパスポート番号を1文字でも打ち間違えていると、全員が足止めを食らうことになります。
1人分だけ登録するとき以上に打ち間違いには気を付けましょう。

ノービザ入国でもTDAC登録は必須

日本人の場合、観光目的であれば60日以内の滞在はビザが不要です。(2025年8月時点)
「ビザが不要ならTDACの登録も不要なのでは?」という希望を持つかもしれませんが、残念ながらそうではありません。
ノービザで渡航できる範囲の日数であっても、TDACの登録は必須です。

忘れたまま到着すると、空港に到着してから登録することになります。
登録しないまま入国できることはないので、事前に登録しておくことをおすすめします。

TDACが不要なケース

基本的には「タイ国籍を持たないすべての渡航者」が対象となるTDACですが、例外もあります。
以下がその例外です。

  • トランジットのみでタイに入国しない人
    空港内の制限エリアから出ず、入国審査を受けることもない、つまりタイに入国はせず、そのまま第3国に行く場合はTDACは不要です。
    TDACは、あくまでタイに入国する場合に必須となる手続きです。
  • ボーダーパス(国境通行証)の利用者
    ラオス、カンボジア、ミャンマー、マレーシアなどの国籍を持つ人が、国境証明書(ボーダーパス)を使って短期的・限定的な入国をする場合には、TDACは免除されます。
    (ボーダーパスは、タイや周辺諸国の籍を持つ人のみが持てる身分証で、これがあると通常のパスポートなしで国境を超えることができます。ただし、国境を渡ったところに住む親せきを訪れたり、物の売り買いをする、など目的が限られ、滞在日数も多くて数日間、立ち入っていいエリアも限定されています)

余談ですが、私は以前、ボーダーパスを持つタイ人の車に、ボーダーパスを持たない他のタイ人数人と一緒に乗り込み、タイから出てミャンマー国土を突っ切り、別の街からまたタイに入ったことがあります。

外国人用のイミグレーションなどないところなので、おそらく日本人とバレていないだけ。
今思うと、勤務でしょっちゅう往来するその人がほぼ顔パス状態なので通してくれたけれど、厳格にルール適用されたら他のタイ人ですら出入りできなかったケースではないかと思います。

TDACの登録で気をつけること

TDACは、便利な仕組みですが、初めて登録する人にとってはつまずきやすい点もあります。
ここでは登録の際に気をつけたいポイントや、実際にやってみて分かった注意点をまとめます。
事前に知っておけば空港で慌てずに済むので、旅行前にしっかりチェックしておきましょう。

TDACの登録は必ず公式サイトから

まず大事なのは、TDACは
必ずタイ入国管理局の公式サイトから登録する
ということです。

TDACの登録は無料で、手数料などは一切かかりません。
ところが、ネットで「タイ 入国カード オンライン」などと検索すると、広告や検索結果に有料の代行サイトがたくさん出てきます。
中には、手続きのサポートをうたって高額な手数料を請求する業者や、さらに悪質な場合は個人情報を盗み取る詐欺サイトもあるようです。
こうしたサイトにうっかり個人情報を入力してしまうと、パスポート番号やメールアドレス、電話番号などが流出してしまうので注意してください!

TDACを登録する公式ホームページ

https://tdac.immigration.go.th/arrival-card/#/home

また、タイ王国大阪総領事館のホームページにも登録方法の説明が掲載されています。
不安な人は大使館や領事館のページをブックマークしておくと安心です。

タイ王国大阪総領事館の説明ページ

http://www.thaiconsulate.jp/topics_detail1/id=1691

TDACに登録できるのは到着の3日前から

「旅行が決まった時点で早めにTDACに登録しておこう」と考える人が多いのですが、実際は
到着予定日の72時間前(3日前)から
しか登録できません。

例えば9月15日にバンコクに到着予定なら、登録できるのは9月12日以降になります。
それ以前に入力しても登録が進められないので、焦りは禁物。
スケジュールに合わせて準備しましょう。

私も次の渡タイのために早く入力してしまいたいのですが、実際の日付を書くと進めないため、3日以内の日付を入れて動作確認をしています。
旅行直前はバタバタしやすいですが、勇み足になってもシステム上登録ができないので、日付をカレンダーでリマインドさせて3日前に思い出すようにしましょう。

入力はすべてアルファベットで

TDACの登録フォームは、日本語表示に切り替えることができます。
ただし、入力はすべてアルファベットを利用しなければいけません。

名前や宿泊先の住所をカタカナや漢字で入力しても受理されません。
これは紙の出入国カード(TM6)のときと同じルールです。
日本人にとっては少し面倒ですが、国際的に統一するために英語表記での入力が求められています。
タイ人が日本語を読むには無理があるので、これは仕方がないですね。

氏名は、パスポートに記載してある通りに表記しましょう。
宿泊先のホテル住所も、予約確認書に書かれているアルファベット表記をそのまま使ってください。
住所の書き順は日本と逆で、番地や通りの名前が先に来るので注意しましょう。

大事な部分を間違えて入力すると、空港でデータを照合できず、確認に時間がかかる可能性があります。
入国審査を短時間で終わらせるためにも、事前の準備は念入りにしましょう。

登録作業は10分程度

TDACの登録に必要なのは、パスポート情報、フライト情報、宿泊先の情報です。
これらを手元に用意しておけば、入力自体は5〜10分ほどで完了します。

ただし、通信状況が不安定な場所だと途中で固まってしまうことがあります。
通信が安定した落ち着いた場所で行うのがおすすめです。

基本情報の入力ミスは特に注意!

登録内容に誤りがあるのが分かった場合、公式サイトの最初に出てくるもうひとつのボタンである「入国記録カードの更新(Update Arrival Card)」から修正できます。

ただし、
氏名・パスポート番号・国籍・生年月日の4つは注意が必要です。
これら基本情報の部分を間違えて入力してしまうと修正ができません。

たとえば名前のスペルを1文字でも打ち間違えると、修正はできず再登録することになります。
初めから登録しなおし、新しいQRコードを取り直さないといけません。
当然ですが古いコードは無効になり、最新のQRコードだけが有効なので、イミグレーションでうっかり古いコードを提示してしまうと足止めされ、焦ることになります。

入力したら、最後のプレビューの段階で必ず入力内容を見直しましょう。
その画面もスクリーンショットしておくと、入力した内容をすぐ見返せるので安心です。
事前のほんのちょっとした確認や手間で面倒を防げます。

登録完了画面やQRコードは保存しておく

登録が終わると、指定したメールアドレスにQRコードが送られてきます。
このコードは入国審査の際、提示を求められるので、必ず保存しておきましょう。

空港内も、大人数が集中するところや、場所によっては通信状況が悪く、すぐにメールを開けないことがあります。
飛行機のチェックインのときも同様ですが、カウンターに来てから回線がつながらないと困ったことになります。
入国審査のときにネットにつながらず、QRコードが出せないと焦ってしまいますよね。
スクリーンショットや印刷など、オフラインでも提示できる形でも持っておきましょう。
ちょっとした手間で、安心感がまったく違います。

空港での登録は最終手段

万が一、忘れていたり、何か事情があってフライト前にTDACの登録ができていない場合でも、タイの空港到着後に登録することは可能です。
イミグレーションの近くにはTDAC専用の端末やヘルプデスクがあり、そこでも入力作業ができます。

ただし、これは最終手段と考えた方がいいでしょう。
到着便が重なる時間帯だと、端末の前に長蛇の列ができていたり、サポートを受けるのにかなり待たされることがあります。
また、自分のスマホで入力する場合でも、Wi-Fiが安定していない場所だと、入力途中で止まってしまうことがあります。

せっかく旅行に来ているのに、入国のスタートで無駄な時間を使うのは避けたいところです。
イミグレーションをすみやかに通過するためにも、フライト前に登録を済ませておきましょう。

TDACは入国許可証ではない

タイ入国にあたっての基本的な注意事項と、今回スタートしたTDACの登録のポイントを押さえておくと、入国審査手続きがスムーズに進みます。

間違ってはいけないのは、TDACはあくまで「入国カードのオンライン版」でしかなく、入国そのものを保証する書類ではないという点です。
登録が完了したQRコードを持っていたとしても、最終的に入国させるかどうかを判断するのはあくまで入国審査官です。
日本人に対しての入国審査が特別に厳しいということはありませんが、パスポートの残存期間不足やビザの有無、過去の滞在歴や渡航目的によっては、滞在先や所持金について質問されることがあります。

たいていは確認の意味での簡単な質問なので、慌てずごまかさず、正直に答えましょう。
不自然な答え方をすると余計な疑いを持たれ、審査が長引く可能性があります。

現金はいくら持っているべきか?

相当回数タイに飛んでいる私でもいまだ経験はないのですが、ときどき、入国時に審査官から「どのくらい現金を持っているか」と質問されることがあるようです。
滞在中に生活できる資金を持っているか疑わしいような場合や、不法就労するのでは?と疑われた場合に確認するのかもしれません。

観光目的の渡航の場合、
1人あたり1万バーツ相当(または1家族あたり2万バーツ相当)の現金
を所持していれば問題ないとされています。

今どきは、カードやオンラインアカウントから支払う方法もありますが、確実に認めてくれるわけではないようです。
まだまだ現金が必要な場面も多いので、キャッシュレス支払いだけを想定しすぎず、入国審査での面倒を避けるためにも上記に相当する額の現金(バーツそのもの or 円やドルなどバーツに換金できる通貨でもOK)を持っていると不安が1つ減ります。

また、審査官は入国者の挙動を見ます。
特にタイ人は一般的に服装で判断することも多いので、「必要な外貨を持っていないのでは?」と疑わせないような服装や立ち居振る舞いを心がけてください。

といっても、私自身も機内で快適に過ごすことを最重要視しているので、特別きちんとした服装で乗っているわけではありません。
小綺麗であれば充分かと思います。

TDACの具体的な登録方法の流れ

では、この章では、TDACの画面を見ながら、手順に沿った具体的な登録方法をご紹介します。
テスト入力した画面のスクリーンショットで登録方法をご紹介しますね。

実際の登録手順 

まずタイ入国管理局の公式サイトにアクセス ①

画面右上の言語設定で「日本語」を選ぶと、フォームの質問内容は日本語で確認できるようになります。
でも、入力は必ず英語(大文字のアルファベット)でしてください。 
日本語で入力した場合は受け付けてもらえないので注意してください。 

入国記録を選ぶ ②

トップ画面で「入国記録(Arrival Card)」をクリックしてスタートします。 

個人情報の入力

パスポートを横に置いて、名前や番号、生年月日などを順番に入力します。 

  • 姓 (ファミリーネーム)  ③
  • 名 (ファーストネーム)  ③
  • ミドルネーム(ある場合のみ)  ③
  • パスポート番号 ③
  • 国籍 (JPNと入力するとJAPANを選択可能) ④
  • 生年月日 ④
    ここまでの基本情報を間違ってしまうと、修正ができないので、慎重に入力してください。
    ———-
  • 職業 (OFFICE WORKER、HOUSEWIFE、TEACHER、SELF-EMPLOYED、STUDENT、RETIRED、NONEなど) ④
  • 性別 (MALE、FEMALE、UNDEFINED) ④
  • ビザ番号 (ある場合のみ) ⑤
  • 居住国 (JPN : JAPAN)と居住都市 (初めの2-3文字を入力すると候補が出て来る) ⑤
  • 電話番号 (国番号は81、最初の0を省くのが正式) ⑤

観光情報の入力 

到着情報と出発情報を入力します。
往復の便名を入力するので、チケットの控えを手元に置いておくとスムーズです。 

  • 到着日 (タイへの到着日) ⑥
  • 搭乗国 ⑥
  • 渡航目的 (HOLIDAYやBUSINESSなど、仕事の場合は何らかのビザを求められます) ⑥
  • 移動手段 (AIRと仮定していますが、LAND/SEAの場合はそれに応じて) ⑦
  • 交通手段 (ほぼCOMMERCIAL FLIGHTになるかと思います) ⑦
  • 飛行機便名 ⑦
  • 出発日 ⑦
  • 移動手段 ⑦
  • 交通手段 ⑧
  • 飛行機便名 (チケット未購入でも記入は可能) ⑧

宿泊情報の入力 

  • 宿泊タイプ (HOTEL/GUEST HOUSEなど) ⑨
  • ホテル住所 県 (選択) ⑨
  • エリア (選択) ⑨
  • サブエリア (選択) ⑨
  • 郵便番号 ⑩
  • 続きの住所とホテル名 ⑩

日本とは住所の書き方が逆なので、ホテル予約確認書を見ながら入力するようにしましょう。
複数のホテルに泊まる場合は、最初に泊まるホテルか、長く滞在するホテルを登録すれば問題ありません。

健康診断書の入力 ⑪

過去2週間に滞在した国 (日本だけなら「JPN : JAPAN」)を入れておきましょう。
黄熱病の流行国などから入国する場合は追加の質問が表示されることがあります。

他の旅行者を追加 or プレビューで確認 ⑪

2人め以降の登録を続ける場合はこで「他の旅行者を追加」ボタンを押します。
家族旅行や友人同士なら、代表者がまとめて入力できます。 
1回の申請につき10人まで登録可能なので、同行者がいるときに便利です。

入力した情報を送信したい場合は「プレビュー」を押した後に出てくる画面で間違いがないか確認します。 
最後にメールアドレスを入力し、利用規約にチェックを入れて「送信(Submit) 」します。 
この時、念のため自分が入力した内容をスクリーンショットで残しましょう。 

QRコードの受け取り ⑫

数分後には、登録したメールにQRコードが届きます。 
このQRコードを入国審査で見せることになりますので、すぐに提示できるような形で保管しておきましょう。

まとめ

かつて必要だった紙の出入国カードは完全に廃止され、今はTDAC(タイランドデジタルアライバルカード)に切り替わりました。

この仕組みは単なる形式の変更ではなく、旅行者にとっても意味があります。
事前にオンラインで登録しておけば、余計な質問が減って入国手続きが早くなり、書き直しの手間もなくなりました。
政府側もセキュリティや情報管理を強化でき、紙の削減により環境への負荷も軽減されました。

ただし便利な分、準備に失敗すると余計な手間を招くので、以下の3点を押さえておいてください。

  • 到着の3日前からしか登録できないこと。
  • 入力はすべてアルファベットで行い、特に基本情報の入力ミスをしないこと。
  • QRコードは必ずスクリーンショットなどで保存し、オフラインでも提示できるようにしておくこと。

TDACは入国許可証ではなく、最終判断は審査官が行います。
パスポートの残存期間や帰国のチケット、ビザの要不要などの基本条件は、旅行の計画段階で確認しておきましょう。
万が一イミグレーションで何らかの質問を受けても、落ち着いて正直に答えれば問題ないことがほとんどです。

登録自体は10分ほどで済みます。
パスポートやフライト情報、ホテルの予約確認書を手元に用意すればスムーズに完了します。
旅行前に済ませておけば、到着後に慌てることなく、タイに着いた瞬間から気持ちよく旅を始められます。
TDACを忘れずに登録し、時間とエネルギーを存分に旅そのものに使ってくださいね。