タイのとある地方都市に移住したムーランです。
台湾で日本語教師をしているとき知り合ったタイ人の夫とともに暮らしています。
バンコクは公共交通機関が充実していますが、少し地方へ行くと交通の便があまり良いとは言えません。
外国人がタクシーを使うと、メータを使ってもらえず高く請求されるしまう心配もあります。
この前私一人でタクシーに乗ろうとしたら、タイ人の夫がいる時の2倍以上の値段をふっかけられました。
こんな時、自分で車を運転して自由に移動できたらいいな〜と思いタイで免許を取ることにしました。
タイは日本と同じ左側通行ですし、地方では交通量もそんなに多くありませんから、日本人にとって運転しやすい国です。
というわけで今回は、タイの運転免許証の取得方法、特に日本免許・国際免許からの切り替え方法を中心にお話しします。
Contents
タイの運転免許の種類

タイの運転免許の種類は、日本と同じように個人向けや業務用などいろいろあります。
ここでは、タイで日本人が使う可能性がある個人向け免許を紹介します。

タイではバイクに乗る人がとても多いので、自動車の免許を持っている人よりもバイクの免許を持っている人の方が多いです。
タイではバイクに乗るとき乗車数制限があって無いようなものなので、バイク一台につき家族4、5人みんなでお出かけしたりしています。
犬や猫も一緒に乗っていることもあります。
しかし、タイの雨季などは自動車での移動が楽だし安全ですから、最近は自家用車の普及率が伸びているそうです。
日本人がタイでバイクを運転するとき気をつけなければならないことは、日本の普通自動車免許ではタイで50ccより排気量の大きいバイクは運転できないことです。
しかし、タイでは排気量120cc以上のバイクが普通で50cc以下のバイクは無いので、タイでバイクに乗りたければ、タイのバイクの免許を取得する必要があります。
タイの運転免許の取得可能年齢
タイの運転免許の取得可能年齢を下の表にまとめたのでご確認ください。

普通自動車免許取得可能年齢は日本と同じですね。
オートバイ免許は、細かく分かれているように見えますが、実際の試験の内容は同じです。
15歳以上18歳未満の人は110cc以下の制限付きということですが、タイ人にとってバイクは自転車のような感覚で運転しています。
なので、どう見ても15歳になっていないような子供がバイクに乗って道路を普通に走ったりしています。
警察も通学のためにバイクを使っている子供は、あまり厳しく取り締まらない風習もあるので、この免許区分はかなりゆるいです。
タイの運転免許の有効期間

タイの運転免許の有効期間は、大きく分けて二種類あります。
初回取得のときの免許(Temporary License)の有効期間は2年間で、新規取得者はまずこの免許を取得し2年後に更新します。
更新する時には、正式免許(Permanent License)をもらえて、有効期間は5年になります。
タイは日本の免許更新とちがい、お知らせの葉書などが来ないので、自分で更新期限をチェックしておきましょう。
また、5年間の正式免許になればタイの免許で国際運転免許(International Driving Permit, IDP)を申請することもできます。
なので、日本に一時帰国するときに国際免許を更新する必要がなくなります。
タイで発行した有効期間は日本発行と同じ1年間です。
ちなみに日本人でタイの免許しか持っていない人は、タイ発行の国際運転免許で日本で運転することも可能です。
テンポラリー免許(2年間)とは
タイのテンポラリー免許(Temporary Driving License)は、運転免許を初めて取得する人向けの免許で、有効期間は2年間です。
この免許の特徴を下記にまとめます。
新規ドライバー向け
初めてタイで運転免許を取得する人は、まずこの「テンポラリー免許」を受け取ることになります。
2年間の有効期間があり、この期間中に大きな交通違反などなければ
有効期間5年の正式免許(Permanent License)
に更新することができるようになります。
テンポラリー免許の有効期間は2年間
テンポラリー免許の有効期限が切れる90日前から正式免許の申請をすることができます。
期限が切れた後でも申請できますが、期限切れの期間によっては追加の手続きが必要になることもありますので早めに申請したほうがいいです。
更新時には視力検査や反応テストなどの適性検査、または短い講習があることもあります。
注意点としては、テンポラリー免許は一部の国で国際免許として認められない場合があります。
外国人も取得できますが、観光ビザではなく長期滞在のビザが必要です。
テンポラリー免許は、新規取得者向けの2年間限定の免許ですが、期間内に問題がなければ5年間有効の正式免許に更新可能することができます。
更新しないと無効になり再取得が必要になる可能性もあるので、タイで長期間運転する予定があれば、忘れず期限前に更新しましょう。
日本の運転免許からタイの免許証に切り替える方法
日本の有効な運転免許証を持っている場合、試験を受けずにタイの運転免許に切り替え(免許交換)ることができます。
具体的な切り替えは以下の手順で申請できます。
1)必要書類を準備
①有効な日本の運転免許証(原本 & コピー)
②日本の免許証の翻訳証明書:在タイ日本大使館で取得可能約 530バーツ
③パスポート(原本 & コピー)
④有効なビザ(観光ビザ不可、労働・学生・配偶者ビザなどが必要)
⑤タイでの住所証明書(Residence Certificate):タイのイミグレーションオフィスまたは在タイ日本大使館で取得可能 (約500バーツ)
⑥健康診断書(Medical Certificate):タイの病院やクリニックで取得(約50~500バーツ)
⑦オンライン講習1時間の終了証明書
2)タイ陸運局(Department of Land Transport, DLT)へ行く
必要書類を準備したら、管轄の陸運局(DLT) に行って申請します。
3)適性検査(簡単なテストを受ける)
①色覚テスト:信号機の色(赤・黄・緑)を識別できるか
②反射テスト:アクセル・ブレーキの反応速度を測る
③視界テスト:距離感を測る
4)免許証の発行
適性検査が終わると、手数料の支払いと写真撮影して、最後にタイの運転免許証を受け取れます。
手数料は205バーツです。
発行される免許証の有効期間は、最初は2年間有効の「テンポラリー免許」で、2年後に更新すると5年間有効の「正式免許」に変更することができます。
国際免許からタイの免許証に切り替える方法
国際免許からタイの免許証に切り替える場合も、日本の運転免許証を持っている場合と必要書類や手続きはあまり変わりません。
ただし国際免許証は、基本的に日本の運転免許証の住所地がある都道府県の運転免許試験場や運転免許センター、指定された警察署で取得しなければならないので、日本にいる間に準備しておきましょう。
もしタイに来た後で国際免許証を申請したい場合は、親族等であれば、代理人申請も可能です。
私は国際免許からタイの免許に切り替える方法でタイの免許を取得しました。
その時の流れを紹介しますね。
1)タイ陸運局(Department of Land Transport, DLT)へ行って、必要事項を確認
タイは担当者によって、場所によって、日によっていろいろスケジュールが変わることがあるので、無駄足を踏みたくなければ、事前確認してから行動を始めることをオススメします。
2)必要書類を準備
住所証明書(Residence Certificate)
タイでの住所証明書(Residence Certificate)は有効期限が1ヶ月なので、免許交換に行く日に近づいてから取得した方がいいでしょう。
それから、証明書をもらった時には、しっかりと内容を確認してください。
私は1年のビザなのに30日の記載になっていて、DLTの人から、「次回の正式免許の時は、ちゃんと確認してきてください」と注意されました…
健康診断書
それと、クリニックで「健康診断書」を発行してもらう必要があるので、パスポートを忘れずに持って行ってください。
陸運局の近くには、運転免許用の健康診断を主にやっているクリニックがいくつかあります。
診断書の発行料金は100バーツ前後で、混んでなければ手続き自体は5分くらいで終わります。
クリニックの受付にパスポートを提出すると、住所、電話番号、それと私の場合は親の名前を紙に書くように言われました。
身長、体重は自己申告で、実際に測定したのは血圧と色覚検査だけでした。
最後に診察室に入るとお医者様に「何か病気はありますか」と聞かれて、「ない」と答えたら終わりました。
オンライン講習
「オンライン講習」は、
DLTeLEARNING (https://www.dlt-elearning.com/)
というサイトに登録して自宅で動画を観るものです。
サイトには、パスポートナンバーと誕生日でサインインします。
講習アプリの動画は英語かタイ語が選べます。
15分ごとに選択問題が出てきて、それに答えると次の15分の動画を観ることができます。
真面目に観ていないと次の動画に進めないし、ためになる内容なので時間があるときに見てくださいね。
最後にすべての問題にもう一度答えて、問題なければQRコードの証明書が出てくるので、それをスクショしておきます。
この証明書は6ヶ月有効です。

私は申請準備を始める前陸運局に行った時に、このサイトの使い方を教えてもらい、その場で登録まで済ませました。
もし使い方がわからなければ、陸運局の人に聞いておくといいでしょう。
3)適性検査を受ける
どこの陸運局で申請するか、また何時に行くかによってもちがいますが、私はいつ行っても受験者が並んでいて混雑していたので、「どんな難しい検査なのかな…」と不安でしたが、実際には各検査に1分もかかりませんでした。
検査機器の写真を撮っていないので、イラストで紹介しますね。

以前は色覚検査のような図を使って、試験管が指した色を口頭で答える方法だったそうです。
でも、私の時は問題も回答も機械だったので、タイ語ができなくても問題なかったです!

他の人の試験を見ていたら、ブレーキを踏むのに7秒以上かかると、不合格になるようでした。
できなくても、たいていの場合やり直させてくれるのでご心配なく。

この検査は不合格になっている人が一番多かったです。
不合格になった人も後ろに並び直して再検査を受けてできるまでやらされます。
4)写真撮影後に免許証を受け取る
適性検査が終わると、受付で手数料として205バーツ支払います。
しばらく待っていると名前を呼ばれて、パネルで区切られた係官のいるスペースに入って写真撮影を行います。
三脚を取り付けたキャノンのデジカメが机の上に乗っていて、現代的なのか原始的なのかよく分からない写真撮影でした。
何分か待つとまた呼ばれて、最後にタイの運転免許証を受け取りました。
タイの免許を日本人が新規で取得する方法
タイで運転免許を新規で取得するには、自分で練習して試験を受ける方法と教習所に通って免許を取る方法の二種類があります。
自分で練習して試験を受ける場合のメリットは、 教習所の費用が不要、自分のペースで練習できるなどです。
デメリットは、運転のコツやルールを自分で学ぶ必要がある、実技試験は1日1回までしか受験できないなどです。
運転に自信のある人や、交通ルールを自分で勉強できる人は自分で練習して試験を受けてもいいかもしれません。
教習所に通って免許を取る場合のメリットは、運転の基本やルールをしっかり学べる、試験対策ができるので合格しやすい、実技試験は1日3回まで受験できるなどです。
デメリットはもちろん教習所の費用が必要なのと、決められたスケジュールで教習所に通わないといけない、すでに運転経験がある人にとっては自分で練習するより時間がかかることなどです。
どちらの方法でも 学科試験と実技試験は必ず受ける必要があるので、自分に合った方法を選び、しっかり試験の準備をしましょう。
普通自動車免許の試験
1)学科試験
①試験の概要
・問題数:50問(4択式):合格ライン:45問以上(90%)正解
・言語:タイ語 / 英語 / 中国語 / 日本語(翻訳の質はあまり良くないようです)
・試験方法:コンピューターによる選択式テスト
②主な試験範囲
・交通ルール(信号・標識の意味、優先道路のルールなど)
・安全運転の知識(車間距離、追い越しルール、夜間運転の注意点)
・応急処置の知識(事故時の対処方法、救急法)
・車両の基本構造とメンテナンス(ブレーキやライトの使い方)
2)実技試験(運転テスト)
①試験の概要
・試験会場:運輸局(DLT)の専用コース/教習所に通った人は教習所のコース
・試験内容:決められたコースで運転し、指示通りに操作できるか確認
・試験官が助手席またはコース外からチェック
・運転ミスが一定回数を超えると不合格
②実技試験の主な項目
・直線運転(車をまっすぐ運転し、スムーズに加速・減速できるか)
・右折・左折(正しい位置でウィンカーを出し、安全確認をして曲がれるか)
・障害物の回避(障害物をよける際のハンドル操作・安全確認)
・縦列駐車(決められたスペースに正しく駐車できるか)
・坂道発進(坂道で停車後、スムーズに発進できるか)
ちなみに私の主人(タイ人)が昔実技試験を受けた時、車に乗ってシートベルトを締める前にエンジンをかけて一発「不合格」になった人が多かったそうです。
シートベルトを締める習慣は、タイでも大切なんですね。
オートバイ免許の試験
1)学科試験
①試験の概要
・問題数:50問(4択式)
・合格ライン:45問以上(90%)正解
・言語:タイ語 / 英語 / 中国語 / 日本語(翻訳の質はあまり良くないようです)
・試験方法:コンピューターによる選択式テスト
②主な試験範囲
・交通ルール(信号、標識、優先道路のルールなど)
・バイク特有のルール(ヘルメットの着用、二人乗りのルール)
・安全運転の知識(急ブレーキの危険性、カーブの走り方)
・応急処置の知識(事故時の対処方法)
・車両の基本構造(タイヤの空気圧、ブレーキの種類)
2)実技試験
①試験の概要
・試験会場:運輸局(DLT)の専用コース/教習所に通った人は教習所のコース
・試験内容:決められたコースを走行し、安全運転の確認
・試験官がコース外からチェック
・運転ミスが一定回数を超えると不合格
②実技試験の主な項目
・直線走行(バイクをまっすぐ安定して走らせる)
・カーブ走行(スムーズにバランスを取りながら曲がる)
・障害物回避(安全な方法で障害物をよける)
・一本橋走行(細い道をバランスよく走行できるか)
・スラローム走行(左右に障害物を避けながら進む)
・急停止(一定の距離で安全にブレーキをかけられるか)
・右折・左折(正しい方法でウィンカーを出し、曲がる)
「一本橋走行」は道路の白線より少し広い幅のところを、ゆっくり足をつかないで走れるかのテストです。
タイ人にとっても難関で、ここで不合格になる人が多いそうです。
小さい頃からバイクで走っているのに、ゆっくり走ることには慣れていないんですかね!?
しっかり試験の準備ができたら、書類を持って運輸局(DLT)へ行って、試験と申請を行います。
必要書類は、タイの免許証に切り替える時とそんなに変わりません。
・パスポート(原本 & コピー):顔写真のページとビザのページのコピー
・有効なビザ(観光ビザ不可、労働・学生・配偶者ビザなどが必要)
・タイでの住所証明書(Residence Certificate):タイのイミグレーションオフィスまたは在タイ日本大使館で取得可能です。(約500バーツ)
・健康診断書(Medical Certificate):タイの病院やクリニックで取得(約50~500バーツ)
運輸局(DLT)での流れは、
1️)適性検査を受ける(色覚テスト・反応速度・距離感覚など)
2️)5時間の交通ルール講習を受ける
3️)学科試験を受ける(50問中45問正解で合格)
4️)実技試験を受ける(運輸局のコースで運転)
5️)合格したら免許取得!
となります。
ちなみに、どちらの試験も落ちた場合、学科は翌日から、実技は3日後から再受験できるそうです。
但し再試験は2回のみ。4回目は書類の再提出からやり直しになります。
しっかり準備して、諦めないで頑張りましょう!
タイで運転免許証を取得するおすすめの方法

タイで日本人が新規で運転免許を取得しようとする際、やはりネックになるのは言語でしょう。
いくら日本語で受験が可能でも翻訳の質に問題があったり、試験に入る前の試験方法を理解するのに難儀したり…
その点、日本の免許証をタイの免許証に切り替えるのは、学科・実技試験が免除なので、一番ハードルが低いです。
タイに住んでいる日本人の友人たちも、日本の運転免許証か国際免許からタイの免許証への切り替えの人がほとんどです。
日本で国際免許証を発行するときの手数料が2,400円程度です。
なので、日本の免許証の翻訳証明書の手数料が530バーツ(約2,400円)なので、どちらでもかかる費用はほとんど変わりません。
どちらの書類が準備しやすいかで申請で提出する免許を決めればいいと思います。
学科・実技試験なしで切り替え可能!というのは時間やお金の節約になるので、大変オススメです。
スムーズに申請できるように、事前に書類をしっかり準備しておきましょう!
またタイあるあるですが、管轄の陸運局(DLT)や担当者によって必要書類が微妙に違ったりするので、事前に陸運局(DLT)に行って不明な点を確認してから準備すると行ったり来たりする手間が省けます。
バイクの免許の取得に関しては、日本でバイクの免許を持っていないのであれば、タイで新規免許取得に挑戦するのもいい経験になるかもしれませんね。
バイクの免許のための教習所の料金は日本と比べて安いので、2輪の場合は現地取得もありでしょう。
まとめ
今回の記事では、タイの運転免許証の取得方法、日本免許・国際免許からの切り替え方法を中心にお話ししました。
タイの交通事情を改めて振り返ると、
「地方では近所なら無免許で運転して問題ない」
「ヘルメットを被らなくてもいい」
「小さな子供がバイクを運転している」
など、日本と比べるとまだまだ交通規則に対してゆるいところがあります。
運転マナーが悪いと、タイ人は「免許、いくらで買った!?」と皮肉ったりします。
私が免許の切り替えのため適性検査を受けに行った時、私が日本人だと知ったタイ人の検査官が、「日本人はどうして交通マナーがいいのか?それは規則が厳しいからだ」とタイ人受験者に話していました。
「実際規則はそんなに変わらないんだけどな…」と思いつつ聞いていましたが。
タイは警察の取り締まりが緩いし、安全よりも便利さを求めて走るので、守っても守らなくてもいいや精神になってしまっているのだと個人的には思います。
しかし近年では、 「交通ルールをしっかり守ろう!」 という動きもあって、いろいろな所で警察が検問をしていたり、運転免許取得試験が難しくなってきているようです。
ともあれ、取り締まりが厳しい厳しくないに関わらず、交通規則を守って安全第一でタイでのドライブを楽しんでくださいね!