タイ在住のムーランです。
わたしが以前アユタヤを訪れた時に、数ある遺跡の中で私の心に特別な印象を残した場所があります。
それが「ワット・チャイワッタナラーム」という、川沿いに静かに佇む美しい寺院です。

このお寺を初めて訪れたのは、タイ人の彼との未来について真剣に考えていた頃のこと。
言葉や文化の違い、見えない将来への不安と期待が入り混じる中で、心を整理したくて足を運びました。
夕暮れの光に包まれた荘厳な遺跡と、その静けさが、迷いを抱えていた私の心に深く沁みたのを今でも覚えています。

実はこの寺院、アユタヤ王朝のプラサートトーン王が亡き母を偲んで建立したという背景があるのだそう。
そうした物語を知ってからは、ただの遺跡としてではなく、人の想いや祈りが今も静かに息づく場所として感じられるようになりました。

今回は、アユタヤにあるワット・チャイワッタナラームの建築様式や歴史背景の魅力はもちろん、個人的な体験も交えながらご紹介していきたいと思います。

ワット・チャイワッタナラームの見どころ3選

中央プラーン

入口をくぐると、すぐに目に飛び込んでくるのが、中央にそびえる巨大なプラーン(塔)。
高さはおよそ35メートル。
見上げると、その迫力に圧倒されます。

この塔は、ヒンドゥー教の宇宙観を表現しているそうです。
中心に聖なる山があり、そのまわりを海が取り囲んでいるという構造で、アンコール・ワットにも似たスタイル。
主にカンボジアを拠点とするクメール様式の影響を受けているため、タイ国内では少し珍しい形式だといわれています。

夕陽を受けて黄金色に輝く姿は、まさに息を呑む美しさでした。
残念ながら塔の上には登れませんが、足元から見上げるだけでもその存在感は圧倒的です。
壁面に施された繊細な装飾や、年月を感じさせる美しいレリーフに目を奪われ、気がつけば時間を忘れて見入っていました。


回廊に並ぶ仏像

回廊を歩いていると、ずらりと並ぶ首のない仏像が目に入り、思わず足が止まりました。
何体も続くその姿は、静かに語りかけてくるような、不思議な雰囲気を醸し出していました。

これらの仏像は1767年、ビルマ軍(現在のミャンマー)による侵攻の際に損傷を受けたそうです。
アユタヤ王朝は400年以上も栄えた大国でしたが、その終焉は悲惨なものでした。

壁には、かすかに残る壁画もありました。
色は褪せ、形も崩れていますが、人や仏の姿がうっすらと見えます。
風雨にさらされながらも、当時の人々の祈りや信仰がそこに刻まれているようでした。


ライトアップ

昼間の寺院は、活気に満ちていました。
赤茶色のレンガが強い日差しを浴びて、くっきりと映え、観光客の賑やかな声が響いていました。

しかし、日が沈むと一気に空気が変わります。
ライトアップが始まると、遺跡はオレンジ色の光に包まれ、まるで別世界のように感じられました。
川面に映る灯りがゆらゆらと揺れ、幻想的な光景が広がります。

昼間の喧騒が嘘のように、夜の寺院は静寂に包まれていました。
ライトアップされた仏像の姿が、いっそう神聖さを増します。
遠くに浮かぶように見える中央の塔は、夜空と溶け合いながら静かにたたずんでいました。

昼間の明るさと賑わいも魅力ですが、もし時間に余裕があるなら、ぜひ夕方から夜にかけて訪れてみてください。
光と静けさに包まれたこの寺院は、きっとあなたの心にも何かを残してくれるはずです。

ワット・チャイワッタナラームのベストシーズン

一番快適に楽しめるのは11月〜2月

初めてワット・チャイワッタナラームを訪れたのは、2月中旬の晴れた日でした。
タイの2月は乾季にあたり、一年の中でも特に過ごしやすい季節だと聞いていた通り、心地よい気温とからりとした空気に包まれていました。
朝は涼しく、昼間は日差しが強いものの湿気が少ないため、日陰に入るとすっと汗が引くような感覚がありました。

気温はおおよそ25〜30度。
暑すぎず、寒くもない。
午前中からじっくりと遺跡を歩いても汗だくになることはなく、気持ちよく観光できました。

乾季の空気は本当に澄んでいて、遠くの遺跡までくっきりと見通せるのも印象的でした。
近くに寄ると、装飾のひとつひとつがはっきりと目に飛び込んできます。

雨の心配がほとんどないこの季節は、一日の予定を立てやすいのも魅力です。
屋外で長く過ごすには最適な条件がそろっています。
朝から遺跡を巡り、夕方には川辺でひと休みするなどもオススメです!

観光客の少ない雨季

そして、もう一度訪れてみたいと思い立ったのが、7月の中旬でした。
今度は雨季。
雨季は避けたほうがいいとよく言われますが、私はあえてその時期を選びました。
なぜなら前回の旅で、この場所には季節ごとに違った顔があると感じたからです

到着した日は蒸し暑く、空には灰色の雲が広がっていました。
昼過ぎにスコールがやってきて、あっという間に辺りが濡れました。
けれど、ほんの30分ほどで雨は止み、空気は一変。
風が通るたびにひんやりとして、むしろ心地よさを感じるほどでした。

観光客の姿はまばらで、回廊も広場も静まり返っていました。
首を失った仏像の並ぶ通路をひとりで歩いていると、どこか時間が止まったような感覚になります。
静けさの中で聞こえてくるのは、自分の足音と風の音だけ。
遺跡の静かな雰囲気に包まれていると、信仰と歴史の重みを肌で感じることができます。

そして何より驚いたのは、雨上がりの遺跡の美しさです。
濡れた地面が仏塔のシルエットをくっきりと映し出し、草木の緑はまるで絵の具で塗ったかのように濃く見えました。
レンガも、乾いたときとはまた違った趣があり、深みのある色合いが全体に静かな力強さを与えていました。

この季節は蚊が多いので虫よけスプレーが必須ですが、それさえあれば、観光には大きな支障はありません。
むしろ、人の少ない空間で、自分のペースでゆっくりと過ごせるのが大きな魅力です。

乾季の爽やかさも、雨季のしっとりとした情緒も、それぞれ違った良さがあります。
どの季節にも、その時にしか出会えない表情があります。
あなたにとってのベストシーズンに訪れ、季節に合わせて変化するその姿を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。

ワット・チャイワッタナラームへの行き方

バンコクからアユタヤへ

いくつか手段はありますが、私は鉄道で行こうと思いました。
なぜなら、所要時間は約2時間ですが、運賃はたったの20バーツ。
驚くほど安いからです。

向かったのは「バンスー中央駅」。
思っていたよりも、近代的で広く、駅員さんの対応も丁寧でした。
英語が通じたのも助かりました。
ちょっと緊張しながら「アユタヤ」と伝えると、すぐに切符を出してくれました。

乗ったのは3等車のノンエアコン。
席はプラスチックのベンチのようで、窓も自分で開け閉めするタイプ。
扇風機がカタカタまわっています。
でも、走り出した列車の窓から風が流れ込んできた瞬間、不思議と気持ちがほぐれました。

街を抜けると、水田が広がり、小さな家がぽつぽつと見えてきます。
車内には地元の人、学生、バックパッカー。
売り子さんがカゴを抱えて歩いてきます。

車内アナウンスは無くて、電車が次の近づくと車掌さんが通路を歩きながら、到着駅を教えてくれます。
知らない言葉に囲まれながらも周りの人に助けられて、無事にアユタヤで下車することができました。

別日に試した2等のエアコン車は、まるで別世界でした。
きれいなシートに涼しい空気。
こちらは250〜350バーツほど。
でも、やっぱり快適。
特に3月の蒸し暑い時期には、かなりありがたかったです。

ちなみに、友人はミニバンで行ったと言っていました。
モーチット・ミニバン・ステーションから出ていて、1時間半ほどで到着。
料金は100〜150バーツ。
本数も多くて便利だし、車内も快適だったそうです。

長距離バスという選択もあります。
これはバンコク北バスターミナルから乗れます。
料金はミニバンと同じくらいだけど、やや時間が読みにくい印象。
地元の雰囲気を味わいたい人にはいいかもしれません。

究極はタクシー
ドア・ツー・ドアでラクですが、1,200〜1,500バーツかかるそうです。
4人くらいで割り勘にしても、ちょっと高めです。
でも、荷物が多かったり、移動に時間をかけたくないときには、これが一番かもしれません。

アユタヤからワット・チャイワッタナラームまで

アユタヤ駅に降り立つと、空気がまるで違っていました。
バンコクの湿気が少し薄れて、風が柔らかい。
空が広く感じられて、ふっと深呼吸したくなります。

駅の正面に出ると、カラフルなトゥクトゥクが何台も並んでいました。
最初はちょっと戸惑ってしまいました。
「どの人に声かければいいんだろう」「ボッタクられたりしないかな」
でも、恐る恐る「ワット・チャイワッタナラーム?」と聞くと、すぐに「OK!」と笑顔が返ってきました。

私の時の料金は片道で150バーツ。
但しこれは交渉次第で、ちょっと高くなったり安くなったりします。
トゥクトゥクに揺られながら街を抜けていくと、ポツポツと遺跡が見え始めます。
少しずつ、ワクワク感が増していきました。

一人か二人での移動なら、バイクタクシーに乗ってみることもできます。
駅前にみんな同じようなベストを着て、バイクの横に座っているグループがいます。
バイタクのお兄さん達かおじ様方です。
料金は交渉制ですが、100バーツくらいでOKしてくれました。
一台のバイクで、運転手+お客さん二人を乗せてくれることもあります。
座席は狭くなりますが、バイタク2台よりも安くできますよ。

バイタクでは基本的にヘルメットは貸してもらえないので、慣れていない人にはちょっと怖いかもしれません。
でも、スピード感と開放感はクセになります。
風が髪をぐしゃぐしゃになってしまうこともありますが、その無防備さが旅の自由さのような気もします。

もっと遺跡を見て回りたい、というときにはレンタカーが便利です。
国際免許が必要ですが、1日1,000バーツ前後で借りられます。
チャイワッタナラームのほか、ワット・マハタートやロカヤスタなどにも寄ることができます。

アプリで目的地を確認して、時間を気にせず寄り道もできます。
途中で見つけたカフェにふらっと入って一息とか。
ちょっとお金はかかりますが、そのぶん時間を有効に使えます。

ワット・チャイワッタナラームに向かうまでの道のり。
それは単なる“移動”ではなく、旅の一部です。

ローカル列車の風、トゥクトゥクの揺れ、バイクのスピード感。
どれも、その瞬間だけの空気や匂い、音があります。
目的地に着いたときには、もう自分の中で旅が始まっていることでしょう。

ワット・チャイワッタナラームをもっと楽しむために

余裕を持ったスケジュールを

ワット・チャイワッタナラームを初めて訪れるとき、「1時間もあれば十分じゃない?」なんて軽く考えていました。
アユタヤ遺跡群のひとつ、くらいの印象だったんです。

でも、実際に目の前に立った瞬間、空気が変わった気がしました。
夕方近く、茜色の光に照らされた仏塔が並ぶその姿は、まるで時間が止まってしまったような静けさに包まれていまれて・・・
言葉にするのがもったいない、そんな気持ちになりました。

石段を一段ずつ上がっていくと、風の音と自分の足音しか聞こえなくなって。
観光というより、なんだか“呼ばれた”ような感覚すらありました。
結局、1時間半では足りずに翌日もう一度足を運ぶことになりました。

写真を撮りたい人、建築や歴史が好きな人、ただぼーっと過ごしたい人。
どんな旅スタイルでも、時間があっという間に過ぎていくと思います。

時間を変えて訪問

2回目の訪問は、まだ薄暗いに出発。
宿で借りた自転車をキコキコ漕いで、川沿いのまだ目を覚ましていないアユタヤの町を静かに進みました。

東の空がうっすら白み始めた頃、遺跡の尖塔の影が川の向こうに浮かび上がりました。
そのシルエットがゆっくりと金色に染まっていきます。
自然と手を合わせたくなるような景色でした。

夕方はまた全然ちがいます。
日没前、遺跡のレンガがオレンジの光を受けて淡く光っていて、塔のシルエットが濃く浮かび上がっていました。
空は紫とオレンジのグラデーションで、まるで誰かが水彩絵の具で描いたみたいです。

そして
川の対岸から見るライトアップされたチャイワッタナラームは、昼の親しみやすい姿とは一転して、神聖で、少し怖いくらい神々しかったです。
昼間とは違う凛とした美しさ——そんな静かな存在感がありました。

時間帯によって、まるで別の遺跡を見ているかのように印象が変わる。
その変化こそが、この場所の魅力のひとつなのかもしれません。

入場料と開館時間

ワット・チャイワッタナラームの入場料は、外国人で50バーツ(日本円でだいたい200円ちょっと)。

私が訪れたときは、小さなブースにスタッフが一人座っていて、チケットを手渡してくれました。
特に厳しいチェックなどはなく、のんびりとした雰囲気。
係の方もにこやかで、「ゆっくりしていってね」と言われているような温かさを感じました。

開館時間は朝8時から夕方6時までと案内されていますが、実際にはその前後の時間帯でも、外から遺跡を眺めることは可能です。
対岸から見るライトアップされた夜の姿や、夜明け前の薄明かりに包まれた遺跡も魅力的です。

ただし朝早すぎると、野良犬が周囲を歩いていたり、周辺の道がやや暗かったりするので、無理のない範囲で行動するのがいいでしょう。
夜間も同様に、女性の一人歩きなどは注意した方がいいです。

持ち物と服装

乾季であっても雨季であっても、タイの日差しは日本人にとって強烈です。
なので、薄手の長袖シャツロングパンツのような服装が快適です。
私は日焼け防止に帽子サングラスに加えて、小さな日傘も持って行きました。
また遺跡の道は石畳がゴツゴツしているので、履きなれたスニーカーなどが歩きやすいでしょう。

そして、なにより
一日中外を歩くので、500mlのペットボトル2本くらいはすぐに飲んでしまいます。
冷たい水が飲みたいのなら、凍らせて持って行くのもアリです。

服装についてもうひとつ。
遺跡は寺院でもあるので、肌の露出を控えるのがマナー。
特に仏塔の周辺では、地元の人が祈りを捧げていたりするので、TPOを大切にしたいですね。

大事にしたいマナー

首のない仏像や、半壊した塔。
ここは遺跡であると同時に、神聖な場所でもあります。
ですから、マナーは大切にしたいと強く思いました。

仏像に登ったり、触れたり、写真を撮るときにポーズを取ったり——
実際にそうしている観光客も見かけて、正直ちょっと悲しかったです。

私は仏像の前でスマホを構えていたとき、そっと現地のおじさんに手を振られ、「ノーノー」と優しく注意されたことがあります。
「あ、これは神聖な空間なんだ」って、そのとき初めてちゃんと理解しました。

それからは、写真を撮るときも一歩下がって、風景の中に自分が“お邪魔している”という意識で向き合うようにしています。

あと、意外と忘れがちなのがゴミ。
遺跡内にはほとんどゴミ箱がないので、空きボトルやティッシュなどは必ず持ち帰る準備をしておくと安心です。
私はいつも、小さなビニール袋をバッグに忍ばせています。

しっかりと準備をして、時間と余白をたっぷり持って、訪れてみてください。

ワット・チャイワッタナラーム周辺のおすすめ観光スポット3つ

ワット・プラシーサンペット

アユタヤ王朝の象徴ともいえる「ワット・プラシーサンペット」。
ここは、かつて王宮の敷地内にあった王室専用の寺院で、一般の僧侶さえ立ち入ることができなかったと言われています。

敷地に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが、左右対称に並んだ3基の美しい仏塔。
同じ高さで並んだ姿が本当に整っていて、美しくもあり、神聖さも感じる風景です。

実はこの仏塔、3人のアユタヤ王の遺骨を納めたもの。
今は朽ちた部分も多いですが、昔は金箔で輝いていたとも言われています。
私が訪れた日は、ちょうど午前中のやわらかい日差しが塔に差し込んでいて、仏塔の影が地面に静かに落ちていました。

ワット・チャイワッタナラームからは車で約10分。
朝の涼しいうちに訪れるのがおすすめです。

ワット・マハタート

アユタヤの中でも特に有名な遺跡といえば「ワット・マハタート」。
多くの人が「木の根に包まれた仏頭」の写真を見たことがあるかもしれません。
私も、それを見たくて訪れました。
でも、実際に現地でその姿を目にしたときの感動は、写真とはまったく違うものでした。

長年かけて菩提樹の根が仏頭を包み込み、まるで自然がこの遺物を守ろうとしているかのような姿。
仏頭の表情はとても穏やかで、どこか優しく微笑んでいるようにも見えました。

もともとこの寺院は、14世紀に建てられ、アユタヤ王朝の宗教的な中心だったそうです。
1767年、ビルマ軍の侵攻によって寺院は破壊され、多くの仏像は頭を落とされました。
敷地内には、今でも無数の首のない仏像が点在していて、見る者に静かな衝撃を与えます。

それが「悲しい」というよりも、「それでもここにある」ことに力強さを感じます。
人間が破壊しても、自然が守り、時が癒す。
そんなメッセージを受け取った気がしました。

ここもワット・チャイワッタナラームから車で約15分。
多くの人が訪れますが、不思議と騒がしさはなく、皆が自然と静かになります。

ワット・ロカヤスタ

アユタヤで最後に訪れたのが「ワット・ロカヤスタ」。
ここは、巨大な寝釈迦仏が空の下にゆったりと横たわっている、開放感のある寺院です。

この仏像、なんと長さが37メートルもあります。
でも不思議なことに、怖さや威圧感は一切なく、むしろ安心感のようなものを感じました。
穏やかな顔で横たわる姿が、本当にやさしいのです。

私が訪れたのは夕方。
空がオレンジ色に染まる時間で、仏像に差し込む光がとても柔らかくて…。
その場に座り、しばらく何も考えず、ただぼーっとしていました。
旅行中って、ついスケジュールを詰め込んでしまいがちですが、ここでは「何もしない贅沢」を味わえます。

また、仏像の足元にはタイの人々が花を供えたり、お線香を焚いたりしている姿もありました。
ここは今も祈りの場として生きているんだと、強く感じました。
観光地というより、日常の中の神聖さがある場所でした。

ワット・チャイワッタナラームからは車で10分弱。
時間に余裕があれば、夕暮れ時の訪問がおすすめです。

静けさと感動に出会える場所

ワット・チャイワッタナラームを初めて訪れたのは、タイ人の彼との将来を考え始めた頃でした。
言葉の壁や新しい人間関係、期待と不安が入り混じる中で、この寺院の静けさと歴史の重みが深く心に残りました。

アユタヤ遺跡群の中でも川沿いにあり、観光地の賑わいから少し離れて、落ち着いた雰囲気に包まれています。
空がオレンジに染まり、中央のプラーンが金色に輝き始めた瞬間、時を超えたような感覚を味わいました。

タイには多くの寺院があります。
訪れる数が増えると、似た印象を持つこともありますが、ワット・チャイワッタナラームはまったく異なる存在感を放っています。
クメール様式の建築はアンコール・ワットを思わせ、私は自分がどこにいるのか忘れてしまいそうになりました。
首のない仏像が並ぶ姿には、争いや破壊の歴史が刻まれており、静かに平和の大切さを語りかけてきます。

タイ観光ではバンコクやチェンマイのような華やかな場所が注目されがちですが、こうした歴史遺跡にはその土地の精神性が色濃く表れています。
私は何度か家族や友人を案内しましたが、季節や時間帯によって雰囲気が変わるたび、新たな感動がありました。

利便性や派手さを求める方には向かないかもしれませんが、静かに自分と向き合いたい方にはぜひ訪れていただきたい場所です。

私自身、この場所で気持ちを整理し、前を向くきっかけを得ることができました。
夕日を見ながら回廊を歩き、心が落ち着いていくのを感じました。

まとめ

この遺跡には、目には見えない祈りと歴史が満ちています。
タイ旅行やアユタヤ観光を計画中の方には、ぜひ朝・夕方・夜と異なる時間帯を体験していただきたいと思います。
写真では伝わらない空気を、肌で感じることができます。

派手な観光地とは違いますが、それ以上の深い感動があります。
訪れるたびに新しい気づきがあり、人生の節目にはまた戻りたくなる場所です。
歴史や仏教、建築に興味のある方、静かな旅を好む方には特におすすめします。

首のない仏像が語る歴史、夕暮れに染まる遺跡、静寂に包まれた回廊…
そのすべてが、きっと心