タイ東北部・イサーン地方のブリーラムです。

タイには多くの美しい寺院がありますが、その多くは王の信仰や功徳のために建てられたもの。
でも、アユタヤ時代には、王が亡き父母を弔い、想いを込めて建立した寺院もいくつか残されています。
そのひとつが、アユタヤの「ワット・プララーム」です。

私はタイに来て、大切な家族の死を経験した後、この寺院を訪れました。
観光名所として知られる場所ですが、池に映る遺跡の静けさは、喧騒から離れ、心の奥にある悲しみや想いを静かに整理できる場所でした。
観光地を巡るだけでは得られない、静かな時間がここにはあります。

この記事では、私の実体験をもとに、ワット・プララームの行き方と所用時間、そしてアユタヤのおすすめ回り方などお伝えします。

Contents

知られざる名所「ワット・プララーム」

ワット・プララーム

アユタヤの遺跡って、どこも観光客でにぎわってるイメージがあるかもしれません。
でも、ワット・プララームはちょっと違います。
ここは、まるで時間がゆっくり流れているような、不思議な静けさに包まれた場所。

寺院を建てたのは、アユタヤ王朝を築いた初代の王。
亡き父を想ってこの地に寺を建て、自らもここで火葬されたと言われています。
そんな背景を知ると、ただの遺跡じゃなくて、王の想いや物語が詰まった「祈りの場」なんだなと感じます。

中央にそびえる仏塔は、クメール様式と呼ばれるもので、どこかアンコールワットを思わせるような美しいシルエット。
塔の表面には、祈りを込めて彫られた細かな装飾がびっしり。
時間を忘れて見入ってしまいました。

そして何より印象的だったのが、池に映る仏塔の姿。
朝や夕方に訪れると、水面が鏡のようになって、現実なのか夢なのかわからなくなるほど幻想的。
まるで自分だけがこの景色を独り占めしているような気分になります。

アユタヤで、ちょっと特別な時間を過ごしたい人へ。
ワット・プララームは、派手さはないけれど、心に深く残る静かな場所です。

ワット・プララーム観光のベストシーズンとおすすめの時間帯

乾季(11月から2月)

私たちがワット・プララームを訪れたのは12月。

タイでは乾季にあたるこの時期、朝晩は20℃前後で涼しく、日中もそこまで暑くならないので、本当に快適に観光できました。

湿気が少ないから、日本の夏のようなムワッとした暑さもなく、サラッとした空気が心地よかったです。

とくにおすすめなのは、朝か夕方以降。
日差しがやわらかく、人も少ないので、遺跡の静けさをじっくり味わえます。

私たちは朝もやが残る時間帯に自転車で向かい、仏塔の背後から朝日が昇る瞬間に立ち会いました。

さらに12月はタイの祝祭シーズン。
ラーマ9世前国王の誕生日(12月5日)やクリスマスの頃には、アユタヤ歴史公園の遺跡がライトアップされることもあり、昼とはまったく違う幻想的な雰囲気に包まれます。

もしタイミングが合えば、ぜひ夜の遺跡にも足を運んでみてください。

雨季(5月〜9月)

ちなみに、静けさ重視の方には、雨季(5月〜9月)の早朝もおすすめです。
雨季といっても、朝から晩まで降り続けるわけではなく、朝は晴れていることも多いんです。

雨上がりの濡れた石畳としっとりとした緑の中を、ただ静かに歩くのもいいかもしれません。
空気も澄んでいて、写真を撮るにもぴったりです。

ワット・プララームは、アユタヤ遺跡群の中でも比較的静かで、自分のペースでゆっくりまわれる場所。

観光のしやすさで選ぶなら乾季、静けさを味わいたいなら雨季の朝。
それぞれ違った魅力があるので、できれば季節を変えてまた訪れたいな、と思っています。

ワット・プララームへのおすすめ行き方

アユタヤ観光ってちょっと面倒そうに思われがちですが、実は意外とシンプル。
バンコクからアユタヤ、そしてワット・プララームまでは、旅のスタイルに合わせていろんな行き方があります。

バンコクからアユタヤへ:おすすめは電車かミニバン

電車(のんびり派に)

フアランポーン駅やバンスー駅からアユタヤ行きのローカル列車が出ています。
所要時間は1.5〜2時間ほど。
3等車ならたったの20バーツ程度で、風に吹かれながら田園風景をぼーっと眺めていると、あっという間に着きます。
ちょっとしたタイ旅情を感じられる移動手段。時間に余裕がある人におすすめです。

ミニバン(サクッと派に)

モーチット・ミニバンステーションから頻繁に出ていて、約1.5時間。
70〜100バーツ前後で本数も多く、予約不要で気軽です。
バスより早くて快適。
私も何度か利用しましたが、ちょっと移動を効率化したい日にはぴったり。

※タクシーや路線バスもあるけど、コスパや時間を考えるとこの2つがバランス◎


アユタヤ駅からワット・プララームへ:気分次第で選べる移動手段

アユタヤ駅からワット・プララームまでは約3km。

自転車

駅前やゲストハウスで1日50〜100バーツほどでレンタル可能。
朝の涼しいうちに出かければ、木陰を走る風も気持ちよく、遺跡めぐりがぐっと楽しくなります。
写真も自由に撮れるし、疲れたらカフェでひと休みも◎。
ただし、日焼け対策と水分補給は忘れずに。


トゥクトゥク

交渉制ですが、ワット・プララームまでなら片道150バーツ前後が相場。
1時間貸切にして、周辺の遺跡も一緒に回るのもアリ。
気さくな運転手さんが多く、写真タイムにもちゃんと付き合ってくれます。


バイクタクシー

駅前にたくさん停まっています。
1人ならこれが手軽。
5分くらいで着くし、50〜80バーツくらい。
乗る前に料金を確認して、ヘルメットがあるかもチェック

レンタカー・レンタルバイク

運転に慣れている人なら、バンコクから車で来るのもアリ。
アユタヤ市内でもバイク(1日200〜300バーツ)を借りられます。
ただしタイの道路は慣れが必要なので、無理は禁物です。


ツアーで全部おまかせ

初めてならバンコク発のアユタヤ日帰りツアーも便利。
ワット・プララームを含む主要スポットを1日でまわれて、ガイド付き。
移動もラクで安心。


私は「電車でアユタヤ→レンタサイクルで遺跡めぐり」がいちばん好きです。
風を感じながら走って、気になる場所でふらっと立ち寄る、そんな自由さがたまりません。

とはいえ、同行者がいるならタクシー、暑い日ならミニバン、旅慣れてない人にはツアーなど、その日の天気と体力、気分に合わせて選ぶのがベスト。
どの方法を選んでも、たどり着いたワット・プララームの美しさは変わりません。

自分にぴったりの行き方で、心に残るアユタヤ旅を楽しんでくださいね。

ワット・プララームの静かな魅力と見学ガイド

ここは派手さや有名さでは他の遺跡に譲りますが、静けさの中にある美しさが本当に心に残るんです。
池に映る仏塔のシルエットを見た瞬間、思わず息をのんだあの感覚──今でも忘れられません。

これから行く人に向けて、私が実際に訪れて感じたこと、ちょっとした注意点などをまとめてみました。


ベストな訪問時間は朝!

私は朝8時すぎに訪れましたが、これが大正解。

朝のやわらかい光が仏塔を照らし、水面にはっきりと映り込むその光景はまるで絵画のようでした。
しかも、観光客がほとんどいなくて、遺跡をほぼ貸し切り状態。

逆に午後は地面からの照り返しが強く、立っているだけでぐったり。
写真だけ撮ってすぐ退散しました……。
日差し対策(帽子・水・日焼け止め)は必須ですが、何より朝イチ訪問が心にも体にもやさしいです。


どれくらいの時間を見ておけばいい?

小さめの遺跡なので、ぐるっと一周するだけなら20〜30分ほど。

でも私は、写真を撮ったり、仏塔をじっくり眺めたりして1時間近く滞在しました。

この遺跡は「急いで見る」より、「座って味わう」のが正解。
時間に余裕があるなら、何もせず風景を楽しむ時間もおすすめです。


靴選び

暑い国を歩くと、どうしてもサンダルを履きたくなりますが、遺跡巡りにはあまりおすすめできません。
砂が入るし、足が疲れるし、段差もあるし…。

スニーカーで訪れて、歩きやすさのありがたさを痛感。
敷地内は土と芝生が中心で、雨上がりはぬかるむこともあるので、歩きやすい靴がおすすめです。


入場料とチケット事情


開館時間とおすすめの時間帯

開館時間:8:00〜18:00

朝イチ(8時〜9時)がやっぱり最高ですが、夕方17時ごろも意外と穴場。

夕日が仏塔を照らし、池にオレンジの光が反射して、昼間とはまったく違う雰囲気になります。
ただし閉館時間ギリギリになるとゆっくり見られないので、少し余裕を持って訪れるのが◎。


SNS映えもバッチリ!おすすめ撮影スポット

  • 仏塔正面のシンメトリー構図
  • 池越しに仏塔が映る逆さ景色
  • 仏塔の根元から空を見上げるアングル
  • 夕日が差し込む仏塔のシルエット

スマホでも十分きれいに撮れます。
カメラ初心者でも、ちょっとした工夫で素敵な1枚になりますよ。

気をつけたいマナーと注意点

ワット・プララームを初めて訪れたときのこと、思い出すのは遺跡の迫力よりも、その静けさでした。
そんな静かな空間だからこそ、訪れるときに少しだけ意識したいことがあります。
旅を心地よくする、ちょっとした気配りです。


服装で、気持ちも整う

ワット・プララームは仏教徒にとって神聖な場所。
肩や膝を出した服装では、入り口で止められることもあります。

私は日差し対策も兼ねて、薄手の長袖とロングスカートで訪れました。
肌を隠すだけで、なぜか自然と気持ちも引き締まったのを覚えています。

小さなストールや羽織りものがあると、暑さ対策にも冷房対策にもなって便利です。

ちなみに、仏塔の前では帽子を取るのがマナー。
知らないとついやってしまいがちなので、覚えておくと安心です。


遺跡は「見る」だけで十分

仏塔やレリーフに触れたり、登ったりするのは禁止されています。

アユタヤでは過去に、遺跡に登って写真を撮り、炎上した外国人もいます。
「旅の記念に」と思った行動が、誰かの信仰や歴史を傷つけてしまうこともあるんですよね。

写真撮影はOKですが、フラッシュは使わないのがベター。
個人的には、朝のやわらかい光で撮った写真が一番好きでした。


静けさを、味わう

仏塔の前で静かに祈る女性を見かけました。
その姿を見た瞬間、自分の足音すら申し訳ないような気がして、立ち止まって深呼吸してしまったんです。

SNS用の動画や写真を撮りたくなる気持ちはよくわかります。
でも、大音量で音楽を流したり、大声で話したりするのは、ここではやめておきましょう。

静かな場所に身を置くと、旅の“速さ”がすっと落ち着いて、心の“奥の方”で何かが目を覚ますような感覚になります。
それがワット・プララームの魅力なんだと思います。


持って行ってよかったもの

実際に見学して「これは便利だった!」と感じたものをまとめておきます。

  • 日焼け対策:帽子・サングラス・日焼け止め
  • 水:脱水防止に必須。小さめのボトルでこまめに補給を
  • 虫よけ:池の近くでは蚊が多め
  • 折りたたみ傘:雨だけでなく日よけにも使えます

きちんとした服装で静かに歩き、何も触れずにただ眺める――
それだけで、この場所が持つ“静かな力”が、じわじわと心に染みてくるはずです。

ワット・プララーム周辺の遺跡巡り

アユタヤの遺跡って、一見似ているようでそれぞれ個性があって面白いんです。
せっかくなら、朝からゆっくり巡って、その魅力をじっくり味わいたいですよね。

「ワット・プララーム」を出発点に、徒歩&トゥクトゥクでまわれるおすすめルートをご紹介します。

スタート:ワット・プララーム(Wat Phra Ram)

開門:朝8:00/所要時間:30〜60分

朝のアユタヤって、とても静かで澄んだ空気に包まれています。
そんな時間に訪れたいのが、このワット・プララーム。池に映る仏塔がなんとも幻想的で、早起きしたかいがあったなぁ…としみじみ思える景色です。

観光客が少ない時間帯に、のんびり散策してみてください。


ワット・プラ・マハタート(Wat Phra Mahathat)

徒歩約5分/所要時間:30分

アユタヤの写真といえば、まず思い浮かぶのがここ。
木の根に包まれた仏頭は、長い時間をかけて自然と一体になった神秘的な姿で、思わず見入ってしまいます。

人の少ない朝の時間帯が狙い目です。写真を撮るなら早めが◎。


ワット・ラチャブラナ(Wat Ratchaburana)

徒歩3分/所要時間:30分

すぐ近くには、見上げるほどのクメール様式の仏塔がそびえるこの寺院。
塔の中に入って上まで登ると、風が心地よくて、アユタヤの町が一望できます。
壁画も残っていて、タイの歴史にちょっとだけ近づけた気がします。


ワット・プラ・シー・サンペット(Wat Phra Si Sanphet)

徒歩約10分/所要時間:30分

アユタヤ王朝の王室寺院だった場所で、格式の高さが感じられる場所です。
3つの仏塔が並ぶ姿は、堂々としていて写真映えもばっちり。
古都アユタヤの誇りを肌で感じられる場所です。


お昼ごはん&休憩(約1時間)

午前中で3時間ほど歩いたら、そろそろお腹も空いてきます。
旧市街には素朴な食堂や、おしゃれなカフェもあります。
ローカルなクイッティアオ(タイのラーメン)や、川沿いで風を感じるカフェランチもおすすめですよ。


ワット・マヘーヨン(Wat Maheyong)

車やレンタルバイクで約10分/所要時間:20分

午後はちょっと足を伸ばして、静かな寺院へ。
この場所は観光客も少なく、どこか穏やかな空気が流れています。
瞑想する僧侶の像が印象的で、「観光」というより、心がふっと落ち着くような時間が過ごせます。


ワット・チャイワッタナラーム(Wat Chaiwatthanaram)

車やバイクで約15分/所要時間:30〜60分

この日の締めくくりは、やっぱりここ。
チャオプラヤー川沿いに建つこの寺院は、夕暮れ時がとにかく美しい。
夕日で仏塔がオレンジ色に染まり、水辺にその影がゆらゆらと映るんです。言葉にできないほどの美しさでした。

夕日が沈むまで、ぜひゆっくり滞在してみてくださいね。


移動手段のおすすめ

  • 徒歩+レンタル自転車(50〜100バーツ/日):のんびり派にぴったり
  • トゥクトゥク1日チャーター(約500〜800バーツ/要交渉):ちょっと贅沢に楽しみたい方へ
  • レンタルバイク(200〜300バーツ/日):自由に動けて効率◎(要国際免許)

アユタヤって、ただ“見る”だけじゃなくて、歩いて、感じて、自分のペースで味わうのが一番。
このルートなら、観光地としての魅力と、ゆるやかな時間の流れ、その両方を楽しめます。

まとめ

アユタヤの遺跡巡りというと、つい「どこを見よう」「何が有名か」に目が行きがちですが、ワット・プララームはそんな喧騒からそっと距離を置いた、心に語りかけてくる場所です。

大切な人を想う気持ちや、自分の心を見つめ直したいとき。
そんな旅の途中で、ふと立ち寄るのにふさわしいお寺だと思います。

決して大きくはありませんが、水面に映る塔の姿や、鳥の声に包まれた静寂は、言葉では表せない深い安らぎを与えてくれます。
時間に余裕があれば、ベンチに座ってぼーっと過ごすのもおすすめです。

観光と癒しを同時に体験できる場所――それが、ワット・プララームです。
アユタヤを訪れるなら、心の静寂に出会うこの場所も、ぜひ旅のプランに加えてみてくださいね。